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愛して、愛されて。

第9章 狂気の矛先




ああ。この感覚を、俺は知っている。前に一度、体験した気がした。

サワサワと俺の手を撫でる誰かの手。

この、感覚はーーー


『村尾、、。俺のかわいい、村尾』

「っ!?」

ゾワリとした寒気が俺の体に走り、ハッとして目が覚めた。夢だと分かり、安堵の息をついて、ギョッとした。


「やあ。村尾。」

「伊勢谷、先生?」

俺の横にはいつも通りの爽やかな笑顔を浮かべた伊勢谷先生が立っていて、俺の顔をジットリと眺めていたのだ。

勢いよくベットから起き上がり、窓を見た。少しだけ赤く染まった空を見て、慌てた時だった。


「もう、放課後だよ。」


伊勢谷先生の言葉に、どれだけ俺が寝ていたかが分かり、小さく俯いた。

「す、いません。授業、サボりました。」

「ああ、別にそんなことを聞きに来たわけじゃないんだよ。村尾」

その言葉に顔を上げて、ハッとした。ゾワリと悪寒が背中に走り、戸惑う。

目の前の伊勢谷先生は、にこやかに微笑んでいたのだ。なぜか、その笑顔がねっとりとしているような気がした。綺麗な笑顔だが、どこか卑猥にも見えて。

俺の警戒心が、強く沸き上がった。


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