愛して、愛されて。
第9章 狂気の矛先
「ああ、ちょっとここで待っていなさい。」
伊勢谷先生の車の助手席に乗り、シートベルトを着用した。伊勢谷先生の言葉にはいと返事をし、校舎に消えていく伊勢谷先生の背中を見つめる。
しばらくして校舎から出てきた伊勢谷先生の手には缶ジュースが2つ握られていて、飲み物を買いに行ったのかとやっとわかった。
バタンと運転席のドアが締まると同時に、伊勢谷先生は片方の缶ジュースを俺へと渡した。
「飲みなさい。」
「、ありがとうございます。」
車が発進したと同時に、伊勢谷先生からもらった缶ジュースを開けて、一気に口に入れた。ずっと寝ていたからか、口の中は異様に乾燥していて、飲み物をくれた伊勢谷先生に心の中でもう一度お礼を言った時だった。
「村尾。」
今まで黙って運転をしていた伊勢谷先生が俺の名前を呼んだ。
「なんですか。」返事をすると、伊勢谷先生はクスクスと笑ったのだ。
なんでわらっているのかと、運転する伊勢谷先生の横顔を眉をひそめて見つる。
そんな俺に、伊勢谷先生は信じられない言葉を発した。
「やっと。君が手に入るよ。」