愛して、愛されて。
第2章 狂愛の先
Side 秦
優しく抱きしめながら、奏太の額にキスをした。
気を失い、目を閉じている奏太に反応はない。
「…っ、ごめん。」
手首を縛っていたロープの跡に、なんとも言えない恐怖が俺を蝕んでいく。
痛々しいその跡が、行為の激しさを物語っていた。
グッタリと、まるで力を無くした子供のように、俺の腕に横たわる奏太。
そうしたのは、紛れも無い、俺だ。
―――ごめん、ごめんな。
意識の無い奏太を抱きしめ、その肩に顔を埋める。
奏太の欲望と、俺の欲望が混ざった匂いに、どうにかなってしまいそうだ。
そのくらい、この部屋には厭らしい匂いが充満していた。