愛して、愛されて。
第3章 日常と、
兄さんに、連れてきて貰ったことがある。
それからは、俺一人でもちょくちょくと出入りするようになった。
俺は17歳の高校生だから、お酒なんて飲ませて貰えなかったけど、
兄さんと雄飛さんは、さすが二十歳って感じで。
高そうなお酒を飲みながら、何か話していたことを覚えてる。
「珈琲、飲んでくかい?」
雄飛さんの誘いに、フルフルと首を振った。
雄飛さんの作る珈琲は天才的に美味しいから、残念だけど。
だけど、今日きた理由はそれじゃないから。
「聞きたいこと、あるんだよ」
そう、その為にわざわざこんな早く来たんだ。
学校に行く途中に、この店に寄れるように。
家族に…もちろん兄さんにも、
『委員会の仕事があるから』
なんて中学生みたいな嘘までついたんだから。
ここで珈琲の誘惑に負けるわけにはいかない。