愛して、愛されて。
第3章 日常と、
「ん?」
首を傾げる雄飛さんを、鋭く睨んだ。
「兄さんに、俺の携帯渡したの。雄飛さんだろ?」
「………」
昨日。
兄さんが持ってた俺の携帯。
よく考えれば、兄さんが持ってるはずがないんだ。
だって、完璧に忘れてたけど雄飛さんに没収されてたんだから。
一昨日の土曜日。
この店にきた俺は、雄飛さんに勝手にメアドを登録されて。
それを消そうとした瞬間、
『だーめ、消すんなら没収』
と、雄飛さんに携帯を取り上げられたことを思い出した。
返してくれと頼んでも、一向に返してくれなくて、諦めて帰ったんだっけ。
どうせ携帯なんて、あんま使わないし。
なんて、甘い考えだったけど。
まさか兄さんに渡されてしまうなんて、思ってなかった。
兄さんにバレるのが怖くて、アドレスを消そうとしたのに。