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愛して、愛されて。

第3章 日常と、



「あちゃー、バレたか」


楽しそうに声を弾ませる雄飛さんを、一層強く睨んだ。


それに気付いた雄飛さんが、怖いなぁ。なんて、へらりと笑った。



時々、本当にこの人は二十歳なのかと疑いたくなる。

金髪に近い茶髪を、女物のピンで綺麗に留めている雄飛さん。


その容姿は端正で、どことなく兄さんと似ている。

色っぽくて、妖艶な所とかは、まさしく兄さんにそっくりだ。


だけど、雄飛さんは子供っぽいのだ。

まるで悪戯を楽しむ、手のかかる子供の様。



「…雄飛さん、どうして渡したんだよ。」


「ああ。奏太君の携帯に俺のアドレスがあったから、秦にお仕置きされたのかい?」


なるほど。


納得したような声を出して、俺の質問に答えようとしない雄飛さんに、


イライラが募っていく。



俺のそんな様子を、雄飛さんはクスクスと笑った。


そして、ゆっくりと俺に近づいてくる。


その笑顔に、体がぞくりと反応した。


なんだ、この感じ。

逃げようとした時にはもう遅くて、俺の手首は、雄飛さんの手に掴まれる。


「っ、雄飛さん!?」


「フフ、奏太君。手首細いね。

痛々しい跡まで付けて、可哀相に。」


今まで聞いたことがないくらいの、雄飛さんの色っぽい声に、


俺の心臓が、警報を伝えていた。



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