愛して、愛されて。
第3章 日常と、
「ゆ、雄飛さん!?離しっ…ンッ…、ちょっ!?」
ペロリ、雄飛さんの手によって掴まれている俺の手が、雄飛さんに舐められた。
縛られた跡が残っている場所を、雄飛さんがしつこく舐めている。
ピチャ、ピチャ…
厭らしい水音に、なんとも言えない感覚が俺の背筋を走り回る。
「っ、やっ、め…雄飛さっ…んン!」
手を振り払おうと力を入れても、雄飛さんの力の方が何倍も上だった。
蹴り飛ばしてやろうかと思ったが、兄さんの友達だ。
乱暴なことはできない。
また、兄さんの機嫌を悪くしてしまうかもしれないから。
ソレだけは避けたい。
ペロッ…ピチャ…
「ひっ…や、めろっ…」
「感度良すぎ。手首、舐めてるだけだろう?」
嬉しそうに笑う雄飛さんは、肩で息をし始めた俺を見て、欲情したような表情をした。
ゾクツ…
「これ以上は、俺もヤバいねぇ」
意味の分からない言葉を放ち、やっと手首を舐めるのを辞めた雄飛さんは、
妖艶に微笑んだ。
「っ、離せ、よ。」
舐めるのを辞めただけで、手を離そうとはしない雄飛さん。
「奏太くんも、悪い子だね。秦の気持ちが痛いほど分かるよ。
君のこんな顔、誰かに見せたくないからね。」
意味が分からない。
兄さんの気持ち、とか…
俺の顔とか。
「意味、わかんね…」
「フフ、秦も苦労する。
まぁ…秦が苦労するのは、俺のせいでもあるけど。」
「いいからっ、離せってば。雄飛さん!」
本格的に訳が分からなくて、俺は雄飛さんの手を振り払おうと力を入れた。