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愛して、愛されて。

第3章 日常と、

大事な親友だけど、兄さんのことは、言えずにいた。

言えずにいた、わけじゃなくて。

言う気なんて、更々無いだけなんだけど。


言わない訳じゃなくて、言えない。


言えるわけないじゃん。


兄さんに、犯されてるなんて。

知られたら、俺は恭まで失ってしまう。


綺麗な体を無くしたのに、希望だって無くしたのに、
恭まで失ったら、きっと俺は…

生きていけない。



胸のうちを隠すように、俺は恭に笑った。


「飯、食おーぜ!腹減ってたんだ。」


「はぁ?まず保健室…」


「いいって、な?」



机から立ち上がり、恭の背中をぐいぐい押した。


恭の困った顔が目に入ったけど、見ない振りをする。
気づかない振りをする。


まだ、この場所にいたいんだよ俺は。


学校が、この時間だけが、俺にとっての日常なんだ。



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