愛して、愛されて。
第3章 日常と、
昼の学食。
多くの生徒が集まるこの場所で、今俺は注目の的になっていた。
理由は、俺が食ってるカツ丼。
この学校名物、
【でっかつ丼スペシャル】
のせい。
デカすぎるどんぶりに、零れるくらいによそられているカツ丼。
元は柔道部の為のメニューらしいけど、今の俺には関係ない。
『あいつ、スゲー食うな』
『でも、細くね?色白だし、女みてーな奴だな』
『あいつ、奏太だろ?男だけど男にモテる…』
「…………」
聞こえてんだよ。
ギッと睨むと、そいつ奴はフイッと目を逸らした。
ふざけんな。女じゃねーし、男になんてモテない。
拗ねるように、目の前のカツ丼をガツガツと平らげた。
どうだよ、俺は男だ!
奴らに見せつけてから、手を合わせる。
そんな俺を見て、恭が笑った。
「クッ…、お前も負けず嫌いだよな。
かわいー。」
「恭てめー、ぶっ飛ばすぞ。」
「ぶっ!できんのかよ。」
恭にまで馬鹿にされる始末だ。
やっぱ俺は、でかくなりたい。
そうすれば…―
「おい、奏太。」
兄さんの顔を頭に浮かべて拳を強く握った俺に、さっきと打って変わって恭が真面目な声を出した。