愛して、愛されて。
第4章 酷く冷たい優しさ
「血、でるよ。自分の体傷付ける気?」
兄さんの言葉に、何とも言えない感情が沸き上がる。
抜いた力を、もう一度入れて、兄さんの腕から抜け出そうと足掻いた。
だけど、どうしても抜け出せない。
俺の中で何かが切れる音がした。
「離せよ!!なんなんだよ…。一番俺のことを傷付けてんのは、兄さんだろ…?なんなんだよ…っ、」
口から零れた言葉は、止まることを知らない。
俺の言葉に、兄さんの腕の力が緩んだ。
それをいいことに、兄さんの胸をダンっと叩いた。
兄さんの漆黒の瞳に、俺の歪んだ顔が写っていた。
目を逸らし、涙を流す。
泣くつもりは無かったけれど、止めることもできなかった。
くそ、格好悪い。
ダン、ダン。
何度も叩く、その度に、兄さんの体からは力が抜けている気がした。
「…なんなんだよ。兄さんのせいだろ?」
「…………」
俺の言葉を、兄さんは何も言わずに聞いていた。
初めて、兄さんに吐き出した、俺の本心。
だけど、兄さん。
ごめん、ごめん、ごめん。
本当は、こんな言い方…する気じゃなかった。