愛して、愛されて。
第4章 酷く冷たい優しさ
ふわりと、兄さんの体から下ろされた。
寝ていた兄さんも、片手で顔を押さえ、起き上がる。
「ごめん、奏太」
いきなり謝られて、目を見開く。
顔から手を離した兄さんは、切なく微笑み、俺を見つめた。
「今の俺には、近づかないほうがいい。」
苦しそうに顔を歪める兄さんに、思わず手を伸ばす。
そんな俺に、兄さんは眉を真ん中に寄せた。
ふわりと手を取られ、兄さんの口元に寄せられる。
「兄さん!?ちょっ…っ…」
俺の手首を口元に寄せた兄さんは、ちゅっと、軽いキスを一つ落とし、
切なく笑った。
「手当、しようか。」
縄の跡のことを言ってるのか。
俺の手を引いたまま、兄さんが立ち上がる。
兄さんの行動に、俺は手を引いた。