愛して、愛されて。
第5章 守りたいもの
ふわり、俺の拳をかわした雄飛は、
クスクスと笑いながら、俺に背を向けた。
怒りに震え、ただ睨む俺にふらふらと手を振り、
肩越しに振り返る。
そして、
「つまらない理性なんて捨てなよ。壊して壊して、ボロボロにしちゃえ。
そうすれば俺が…―フフフ」
そう、笑った。
「お前、死ねばいいよ。」
俺のその言葉を最後に、雄飛は店を出て行った。
―――バタン。
扉が閉まった瞬間、ゆるゆると体の力が抜ける。
足が折れたように、椅子に座り込んだ。
「…なんなんだよ。」
雄飛の言葉が、頭の中を掻き混ぜていく。
“壊して壊して、ボロボロにしちゃえ”
「…っ…―」
仕事に行く前の、奏太の苦痛の叫びを思い出した。