愛して、愛されて。
第5章 守りたいもの
だめだ。頭が痛い。
“俺を一番傷付けてるのは、兄さんだろ”
―――そうだよ。
奏太の傷付いた目が、俺の頭から離れない。
奏太のこと、雄飛のこと。
考えなくてはいけないことなんて沢山ある。
ただ、今は。
俺の頭を支配する嫌な予感に、小さく顔をしかめるしかなかった。
“そうすれば奏太君は…”
なんだ?
あの言葉の続きが、なにかとてつもないことの様な気がした。
…本当に、嫌な予感しかしないんだけど。
「雄飛…」
こんどは何をやらかす?
奏太に危害でも加えたら、再起不能になるまで壊してやる。
俺が言える立場じゃないのはわかってるけれど…
“俺を一番傷付けてるのは…―”
だけど、ただ。
守りたいんだ。
奏太、お前が好きだから…―