
愛して、愛されて。
第6章 狂気の陰
昼休みが終わって、俺と恭は2人で5時限目をサボった。
だけどさすがに2時間ぶっ続けてサボるなんてことは出来ず、
今はちゃんと授業を受けている。
「…〜で、あるからして。」
教室中に、伊勢谷先生の低く落ち着いた声が響く。
数学は、嫌いじゃない。
だけどやっぱり、時間帯が時間帯だ。
どうしたって眠い。眠すぎる。
伊勢谷先生の低い声が、超音波のように俺の耳に響き、
それがまた更に、俺の眠気を誘っていた。
無駄な足掻きで、握るシャーペンをクルクル回す。
ぼやけた視界で、恭に目を向けた。
「………」
遠慮もくそもないその居眠りの仕方、逆に感心する。
肘を着いたまま、前に向けている顔。
目が閉じられていて、口はあんぐりと空いていた。
