
愛して、愛されて。
第6章 狂気の陰
…なんだよ、恭の奴。
馬鹿じゃん。
なんて思いながらも、うとうとと意識が無くなってしまいそうになる。
閉じかける目をハッと開き、また閉じる。
その繰り返しだ。
―――もう、無理。
眠気に勝とうとするなんて、無謀な挑戦は止めよう。
いいや、寝ても。
ノートは…
後で委員長に見せて貰えばいいや。
どうせ、今日だけ。
今日だけと心に誓い、俺は大人しく目を閉じた。
どうせ、一番後ろの席だしばれないだろ。
俺はなんの抵抗もなく、闇の世界へと沈んだ。
「…っ…―!?」
サワサワサワ。
何かが、俺の手を触っている感触。
なんだ、これ。
…指?
俺の手を撫でた後、ソレは俺の指に絡まる。
――――なんかすげぇ、
気持ち悪い。
『村尾。…―奏太。』
「…っ…―!!」
耳元で囁かれ、ゾワリとした寒気が走った。
同時に顔を上げ、周りを見渡す。
机に被る影の主に目を向けて、驚いた。
