
愛して、愛されて。
第1章 狂愛
俺に力が入らないことを悟ったのか、
兄さんはニヤっと笑った。
「ハッ…ハァ、」
「なに?キスだけで力抜けたんだ。」
「ち、ちがっ…」
「そのまま、力抜いといけよ。
あ。でも、抵抗してもいいよ。良いことしてあげる」
兄さんの言葉に、俺の恐怖は莫大に膨れ上がる。
兄さんの“良いこと”それは、恐怖そのものを意味していた。
「やめっ、嫌だ、嫌だよ兄さん!」
脚をバタバタと動かしても、対して意味はなかった。
こうなってしまっては、もう俺に成す術などないことを、
俺はよく知ってる。
「あーあ、震えてんね奏太。怖い?大丈夫だよ。
恐怖なんて感じないくらい、壊してやるから。」
「あ、あ…」
その言葉に、絶望を感じた。
じわりじわりと俺を蝕む絶望を。
