
愛して、愛されて。
第1章 狂愛
「泣いてる。かわいいな」
この人は、狂ってる。
泣いてる俺を見て、かわいいなんて。
狂っているという以外の言葉は、兄さんを表すには向いていなかった。
「ヒッ…ア、やめ。」
俺を拘束し、上半身に纏っているものを慣れた手つきで脱がしていく。
あっという間に、俺の上半身は裸になっていた。
そんな俺を、兄さんはじっと見つめていた。
羞恥と恐怖で、おかしくなりそうだ。
カーッと熱が集中する顔を、隠すように背ける。
これ以上、見られたくなかった。
だけど、次の瞬間。
さほどあった余裕は、跡形も無くなった。
無くさずには、いられなかった。
狂うしか、術はなかった。
