愛して、愛されて。
第6章 狂気の陰
たとえば、好きだって気持ちはどこからくるんだろうか。
いつか俺も、狂いたいほど誰かを愛す日がくるのだろうか。
それはきっと、これからの俺の生き方によって決まるのだろう。
――――だけどもし。
近い未来にその日が来るのだとしたら。
俺は忘れられるかな。
兄さんに与えられた熱。
そして激しい快感を。
手遅れになる前に、手放してほしかったんだ。
そんなに俺を嫌っているのなら、
俺の体に、触れないでほしかった。
「しょっぱ…」
「……」
俺の作った味噌汁に口をつけた恭が、うべっと舌をだした。
それを見て、俺は奴をきつく睨む。
「し、仕方ないだろっ!黙って食
え…」
「はいはーい。」
料理なんて作ったことないのに、無理矢理作らせるからだろ。
心の中で悪態をつきながらも、しょっぱすぎる味噌汁を俺は無理矢理のどえと流し込んだ。