愛して、愛されて。
第7章 眩暈がするほどに
忘れていた。
すっかり忘れていた。
兄さんの存在を。
ガタガタと体中が震え出す。
落ち着け、落ち着けよ、、、。
恭だって寝てるし、兄さんだって、きっと言えば分かってくれる。
すっと、小さく深呼吸をした時だった。
「起きてたの?奏太。」
兄さんの低く綺麗な声が耳に響いた。
ゆっくり振り返ると、にっこりと微笑む兄さんが目に入って。
俺の口からは、乾いた声しかでてくれない。
カッコ悪い。そう思っても、俺にとって兄さんは恐怖だ。
俺に快感を与え、狂わせる恐怖そのもの。
「あ、え•••と、喉が乾いたから降りてきただけだ•••」
ふいっと顔を背けながら、小さく呟く、その瞬間、
俺の体は、爽やかな香水の香りと、兄さんの暖かい体温に包まれた•••ーーー。