愛して、愛されて。
第7章 眩暈がするほどに
「•••っ•••ーー」
そのまま引き寄せられ、掴んでいたリビングの扉から手が離れてしまった。
バタンっ。
音を立てて閉まる扉。同時に、俺の体を包む腕に力が入っていく。
痛いほど、俺を抱きしめていた。
俺は今、兄さんに抱き締められている•••ー。
「なっ!?兄さん!離せっ•••よっ、!」
俺の頭の中は混乱していて、必死に兄さんの腕から逃れようと体をうごかした。
それでもやっぱり、兄さんの力には適わない。
ほどくどころか、兄さんはより強く、俺を抱きしめた。
そして、首に顔を埋める。
くすぐったい感覚に、俺の体がビクリと反応したときだった。
グイッーーー
抱き締める腕から解放されたと思った瞬間、
俺は勢いよく、廊下の壁へと背中をつけられていた。
今まで見えていなかった兄さんの顔が見える。
兄さんの綺麗な瞳は、俺を鋭く見つめていた。