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愛して、愛されて。

第7章 眩暈がするほどに




なんで、そんな顔するんだよ。

兄さんが、そんな顔する必要はないはずじゃないか。

苦しいのは、俺なのに。
なんでそんなに、切なそうなんだ•••ーー


「俺は、兄さんの人形じゃないんだよ。
兄さん、の•••思い通りになりたくないんだ•••」


口から出た言葉に、自分でも驚いた。

まずい。そう思っても、遅い。


ぽろりと出てしまった俺の本音に、兄さんがピクリと肩を揺らした。


グッと、壁につく兄さんの腕にギュッと力が入ったのが分かった。
それに気づいて、顔を伏せた。 

余計な一言だって、わかってる。


だけど、これが俺の本心なのだから、隠そうとしても無駄だろう。


ごめん、兄さん。

兄さんを傷つけたかもしれない。
ごめん。

そう口にしようと思い、顔を上げた時だった。


「じゃあさ、俺の言うとおりにしないでどうなった?飛雄に、なにされた?」


その言葉に、体が固まってしまった。



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