
愛して、愛されて。
第7章 眩暈がするほどに
「あ、俺、、トイレにきたんだけど、、、、」
明らかに戸惑う恭に、見られてしまったんだと思った。
「、、、あっ、、」
俺の口からは、乾いた声しか出てくれない。
兄さんも、今ばかりは俺から目線を離し、ただ混乱する恭を静かに見つめていた。
「トイレ、、、借りにきただけだったんだけど。」
俺と兄さんから目を背け、恭がポツリと呟いた。
呟きながら、一歩一歩近づく恭。
その表情はどこか、怒りに満ちているように見えた。
きっと、幻滅されただろう。
当たり前だ。男同士で、しかも兄弟なのに。
恭にとっては、気持ち悪いだけだろう。
絶対、バレたくなかった、、
恭だけには、絶対。
できれば、今すぐここから消えてしまいたい。
辛くて、辛くて。
この場所にいるのが、恭にバレてしまったという現実が、辛くてーーー
俺が俯いた時だった。
