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血とキズナ

第1章 約束のカギ

「そいつがここの生徒に“カリ”を作っちまったから、俺が代わりに返しにきたんだ。

 でもその相手が霧金の奴ってこと以外わかんなくてさ、どうしようかと思ってたんだ。
 でもお前のおかげで助かった、ありがとな」


 佐山がぎこちなく「おう」と頷いた。
 そして、「さてと」と壁に預けていた腰を伸ばし、リツはトイレの扉に手をかける。

 外に出ようしたリツに、佐山はさらに質問をぶつけた。


「もしかしてお前、この学校でやらなきゃいけないことって、それか?」

「ああ」


 顎が外れたかと思うほど、佐山が口を広げる。


「まじで? それだけ?」

「ああ」

「お前バカか」


 また言われた。

 佐山のいうバカが、気に付くようになった。


「そんなの入学しなくたってできるだろ、カギ返すぐらいさ」

 佐山がつめ寄ってくる。


「カギを返すだけじゃないんだ。
 あいつ、カギと一緒に“カリ”も返すつもりだったから」

「カリ?」

 リツは頷く。

「どっかの奴らにリンチ食らってるところを、その東条って奴に助けられたららしいんだ。
 しかも警察から逃がすためにバイクまで貸してくれたらしい。

 でもあいつ、身内以外にカリ作るのすげえ嫌がる奴でさ、バイクのカギ返そうとしたら、ぶん殴られたんだって」

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