血とキズナ
第1章 約束のカギ
「へぇ、そんなすごいもんなのか」
「お前ぜってーわかってねえだろっ」
佐山の声が張り上がる。
「そんなもん持ってるとバレた日にゃ、冗談じゃなしに全校生徒から狙われるぞ。
柴鳳代表の証なんて奪われたとあっちゃ、東条のメンツは丸潰れ、奪った奴は1日で天下統一だぜ。
柴鳳だって、見ず知らずのガキがそんなもん持ってるって知ったら黙っちゃいない。
ぜってえ制裁にくる」
「どうすんだよー」と、髪をくしゃくしゃかき回しながら独り言のようにつぶやく佐山だが、その手がはたと止まった。
「そういや、それ、ダチが借りたって言わなかったか?」
「ああ、そうだよ」
「だったらそいつに返せよ。それがいちばん平和だって」
リツの手に力が入る。
「それは無理」
「なんでだよ」
「死んじまったから」
あんなにしゃべっていた佐山が、さすがに黙った。
そして言葉を選ぶように、そっとつぶやく。
「……それは、なんつうか……。――――ゴメン……」
「いいよ。こっちこそ悪いな、こんなオチで」
「いや、そんなことねぇけど」
「今年の2月にな、バイクで事故ったんだよ。バカな奴だろ、アイツらしいけど……」
死んだ親友の顔が浮かび、目頭に何かこみ上げてしまった。
やばい――。
佐山をなごませようと口した言葉に、リツのほうが参ってしまいそうになった。
ここで泣きそうになってどうすんだよ。
リツはせり上がってきたものを飲み込み、言葉を続けた。
「お前ぜってーわかってねえだろっ」
佐山の声が張り上がる。
「そんなもん持ってるとバレた日にゃ、冗談じゃなしに全校生徒から狙われるぞ。
柴鳳代表の証なんて奪われたとあっちゃ、東条のメンツは丸潰れ、奪った奴は1日で天下統一だぜ。
柴鳳だって、見ず知らずのガキがそんなもん持ってるって知ったら黙っちゃいない。
ぜってえ制裁にくる」
「どうすんだよー」と、髪をくしゃくしゃかき回しながら独り言のようにつぶやく佐山だが、その手がはたと止まった。
「そういや、それ、ダチが借りたって言わなかったか?」
「ああ、そうだよ」
「だったらそいつに返せよ。それがいちばん平和だって」
リツの手に力が入る。
「それは無理」
「なんでだよ」
「死んじまったから」
あんなにしゃべっていた佐山が、さすがに黙った。
そして言葉を選ぶように、そっとつぶやく。
「……それは、なんつうか……。――――ゴメン……」
「いいよ。こっちこそ悪いな、こんなオチで」
「いや、そんなことねぇけど」
「今年の2月にな、バイクで事故ったんだよ。バカな奴だろ、アイツらしいけど……」
死んだ親友の顔が浮かび、目頭に何かこみ上げてしまった。
やばい――。
佐山をなごませようと口した言葉に、リツのほうが参ってしまいそうになった。
ここで泣きそうになってどうすんだよ。
リツはせり上がってきたものを飲み込み、言葉を続けた。