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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 用も足さず、鴇津は外に出て行った。
 わざわざ、俺と話しに来たのだろうか。

 何のために?

 俺の寮費だのバイトだのと言う話の、なにが聞きたかったのだろうか。

 鴇津の行動の意味が、リツにはわからなかった。

 疑問を解消できないまま、リツは保健室へ戻った。





   ◆ ◆





「おーい、佐山ー」


 ホームルームが終わって帰り支度をしていると、クラスメートが2人、佐山を訪ねてきた。

 入学して1週間と少し、佐山はすでにクラスにとけ込んでいる。

 上級生に付け狙われ、同級生にはおそれられているリツとは、まったく正反対であった。


「おう、どうした」

「じつはさ、今日北女の女子と合コンなんだけど、人数足んなくてさ、お前来ねえ?」


 そしてよく遊びに誘われている。

 こいつのコミュニケーション能力の高さには、本当に頭が下がる。


「あーわりい、今日用事あんだわ」

「あ? またかよ。おまえいつなら空いてるわけ?」

「あー……。あと3年はムリ、かな」

 「なんだよそれ」とクラスメートが嘆いている。

 それはそうだ。
 佐山はリツのせいで、青春のスクールライフを楽しめていない。

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