血とキズナ
第4章 どうでもいい奴ら
「仲間と騒ぐの、楽しくないの?」
のぞき込みながら言うと、切れ長な目がリツを睨んだ。
「別に、どうでもいい」
無気力。無関心。
鴇津のすさんだ目が、それをかもし出している気がした。
鴇津を見ているとなぜか、きゅっと胸が縮こまる。
痛々しいというか、寂しいというか。
怖い印象は、それらの延長上みたいだ。
いついなくなってもおかしくない。
自分の存在にすら、頓着がない。儚げな背中。
“儚げ”なんて、こんな立派に成長した男には似つかわしくないが、なんとなく背中を見ると、そんな感じだ。
リツは気を取り直し、ちゃんと前を向いて歩きだす。
すると前から、制服を着た男が5人、物騒なエモノを片手に、ざりざりと近づいてくる。
制服は学ランで、霧金の制服ではない。
「よう鴇津。このあいだは俺の後輩が世話になったな」
鉄パイプを担ぎながら、ひとりの男が言った。
鴇津は緊張感もなく、煙草を吹かしている。
「誰のお礼参りだ? ケンカ売られすぎて、誰が誰のだかわかんねえんだわ。
ま、名前言われたところで、結局わかんねえんだけどな」
男の額に青筋が立つ。