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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「俺は、南高アタマの岸部だよ。
 今まで好き勝手やらせてたけどな、今日でそれも終いだ。
 ぶっ殺してやる」


 男の言葉を合図に、周りの男たちがナイフを構えだす。


「鴇津先輩、逃げよう」


 鴇津の腕をつかみ、リツは元来た道を戻ろうとしたが、それも叶わなくなった。

 同じ学ランの男たちがぞろぞろと現れたのだ。

 ここはわき道もない。

 逃げ道がなくなってしまった。


「鴇津先輩」


 ふと見やった鴇津の表情に、リツは息を呑んだ。

 乾燥しきっていた瞳が、生気で潤っていた。

 しかしそれは禍々しく、どこか狂ったような光り。


「鴇津先輩」


 リツがもう一度鴇津の名を口にした瞬間、学ランの男たちが雄叫びを上げながら迫ってきた。

 その迫力に一瞬意識を持っていかれた時、リツは鴇津に押しとばされた。
 壁に背中を打ちつける。

 リツが離れ一人になった鴇津は、自ら南高の群に飛び込んでいった。


「鴇津さん!」


 リツには目もくれない学ランの男たち。
 彼らはまっすぐに、鴇津を攻める。


「鴇津さん!」


 もう一度叫ぶが、リツの声などでケンカは止まらない。

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