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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 鴇津一人に対し、相手は十数人。
 もはやケンカじゃない。乱闘。

 学ランに囲まれリンチ状態の鴇津だがしかし、聞こえるうめき声は学ランの男たちのものばかり。

 鴇津は怒号を上げながら、ハチャメチャな強さで学ランたちをなぎ倒している。

 多勢に無勢、さらに武器対素手という大勢で勝っているのだから、もはや怪物だ。

 しかし鴇津も攻撃を受け、身体のいたるところを腫らしていた。

 このままやらせていたら、確実にこの通りは地獄絵図と化す。
 というか、すでに化し欠けている。

 さらに野次馬もぼちぼちでき始め、携帯を耳に当てている人もいた。


「鴇津先輩! ストップ」


 十数人を相手に、鴇津の勢いは止まらない。


「もうやめよう鴇津先輩。警察来るよ」


 火のついたように拳を振るい続ける鴇津の目には、学ランの男たちしか映っていなかった。

「この――」


 リツは、倒れている男の手からバットを拝借する。

 そして、するりと鴇津の背後に立ち――


「やめろっつうに!」


 思いきり鴇津の脳天をかち割った。

 突然現れた脇役の突拍子もない行動に、あれだけ血気盛んだった空気が一瞬にして冷める。

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