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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 しかしそれを見つけるまえに、リツは思いきり胸倉をつかみ上げられた。
 身体がふわっと浮き上がる。


「わかったような口たたいてんじゃねえぞ。
 俺がなにをどうしようが、テメエには一切関係ねえ。
 今度余計な口たたいたら、ブチ殺す」


 乱暴に胸倉を突き放され、リツは壁に背を打ちつけた。

 去っていく鴇津の背中を目で追い、ため息をつく。


 静寂を取り戻したエントランスに、自販機の可動音だけが響いた。

 リツは自販機に百円玉を入れ、炭酸飲料のボタンを押す。

 さっきの全力疾走で、のどがカラカラであった。

 椅子に座り、缶の半分ほどを一気に飲み干す。

 やはり、鴇津は誰かに似ている。

 出会って間もない感じがしないほど、リツが鴇津に感じる親近感は強かった。

 しかし、リツの友達は明日斗だけだ。

 明日斗に似ているのだろうか。――いや違う。

 もっとリツに近い誰か。
 しかし、明日斗以上に近いやつなどいない。

 答えが出ずに、リツはごつんと机に頭を打ちつけた。

 ――だめだ。わかんね。

 うぅんと唸っていると、突然リツの目の前に紙切れが落ちてきた。

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