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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

「だって内輪もめだろ? 俺が介入する言われもないし」

「でも、今の鴇津さんはおまえのボディガードだぞ。
 置いてったらなに言われるか――」


 佐山が息を呑んだのでリツも顔を上げると、鴇津が立っていた。

 無表情にじっと見つめられたかと思えば、鴇津はなにも言わず、自分の下駄箱に姿を消した。


「こわっ! なにも言ってこないのが逆にこわっ!」


 佐山が自分を抱きしめ身震いしていると、今度は松根が話しかけてきた。


「おいリツ、放課後ツラ貸せよ」


 松根からの誘いに、リツは少し驚いた。


「え、なんで?」

「ちょっと話がしたいんだよ。いいだろ」

「話? うん。いいよ」


 リツの迷いない返答に、佐山は顎がはずれんばかりに口を開けた。

 そして、その横からユウゴが口を挟む。


「松根先輩、俺も行っていっスか」

「ああ、好きにしろよ。
 じゃあ、放課後にな。ここで待ってっから、ちゃんと来いよ」


 そう言って、松根と土井は去っていった。

 そして二人の姿が見えなくなったとたん、佐山からヘッドロックをくらう。


「このバカ。あの二人が誰だかわかってんのか? 紫鳳きっての切り込み隊長だぞ。
 ケンカ半端なく強いんだぞ。そんなとこに、ひとりのこのこ行くなんて自殺行為だ!」

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