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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

「いや、でもあの人たちそんな悪い人たちじゃ……。
 つか、じゃあ断ればよかったのか? どうやって」

「うっ。それはだな……」


 佐山が口ごもったとき、突然リツの尻に衝撃が走る。

「って!」

 振り向けば、怖い顔をしたユウゴが立っていた。


「なに? なんで蹴ったの?」

「うるせえスカタン」

「スカタンて……」


 蹴るだけ蹴って、ユウゴはさっさといなくなってしまった。


「俺、あいつに嫌われてんのかな」

「間違いなくな」


 知り合って数日、ユウゴにはいたるところを蹴られ続けている。


「でも、まあ仕方ないんじゃない? あいつの縄張りに踏み込んだのはリツなわけだし」

「縄張り?」

「紫鳳とか、鴇津さんとか。あいつ、鴇津さんのこと大好きだもんな」

「なんでそれが、俺の嫌われる理由になんの?」


 佐山が頭を抱えながらため息をついた。


「おまえは本当、そうだよな」

「え、なに?」

「もう行こうぜ。授業始まっちまう」

「ちょっと、俺がなに」

「まあでも、リツのそういうことろが俺は嫌いじゃない。むしろ好き」

「俺も佐山のこと好きだよ。物知りなとことか」

「そこ……。なんか俺、ちょっとショック」

「え、なんで。褒めたじゃん」

「いつまでくっちゃべってんだ。早く行くぞ」

「と、鴇津さんっ、すんません!」

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