血とキズナ
第5章 路地裏の青天
「で、お前らって、どんな関係なんだよ」
「なんか、どこぞ色恋沙汰みたいな質問ですね」
「茶化すんじゃねえ」
リツは、グラスをテーブルに置いたままストローをすすった。
「そう言われても、俺もよくわかんないんすよ」
「アイツが護衛なんてクソ面倒なことするなんて、ふつうじゃありえねえ」
「そう言われても、本当にわかんないんすよ」
リツは鴇津が護衛しようと思った意図が、いまだに読みとれていない。
九鬼に狙われているとしても、リツを守って、鴇津にはなんの得があるのだろうか。
そんなことを考え続けているが、答えは出てこない。
「コイツ、九鬼とかいう変態野郎に目ぇ付けられたらしいっすよ。それでらしいっす」
氷をかじるユウゴが、不機嫌そうに言った。
その言葉に、松根と土井が顔を見合わせる。
「マジ? あの九鬼にか。
そりゃ、ご愁傷様だな――」
松根は、口元を引くつらせた。
しかし、すぐに表情がくもる。
「でも、なんでそれで鴇津がコイツを護衛すんだ?
アイツには何の得もねえよな」
そうそう――。
リツは心の中で頷いた。
「それがわかんないんですよ」
松根は腕を組み唸る。