血とキズナ
第5章 路地裏の青天
そしてそんな鴇津のことが、気になってしょうがなかった。
最初からあった、鴇津への親近感。
つき合っていけばそのうちわかると思っていたその正体が、今は余計にわからなくなった。
鴇津の真意がまったく見えず、鴇津がリツに対して、壁を作っていることは明らかだった。
それはリツにだけに言えたことではないが、他の人との壁とは少し違う気がした。
だって、自分の中に入ってこられるのが嫌だったら、最初から近づかなければいいだけなのに、鴇津は自らリツに近づいてくる。
そのくせリツが近づけば、威圧的な態度で遠ざける。
もはやお手上げ状態だった。
誰でもいいから、ヒントをくれ!――という気分なのだ。
店員が、料理を運んできた。
それらをテーブルに並べ終え去っていくタイミングで、松根が顔を上げる。
「あのよ、その話だと、ふつうにお前のことが好きだからって考えにしか行きつかねえんだけど」
リツは深くため息を付いた。
「それはないね。
なんたって俺、現在進行形で避けられてますから」
最初からあった、鴇津への親近感。
つき合っていけばそのうちわかると思っていたその正体が、今は余計にわからなくなった。
鴇津の真意がまったく見えず、鴇津がリツに対して、壁を作っていることは明らかだった。
それはリツにだけに言えたことではないが、他の人との壁とは少し違う気がした。
だって、自分の中に入ってこられるのが嫌だったら、最初から近づかなければいいだけなのに、鴇津は自らリツに近づいてくる。
そのくせリツが近づけば、威圧的な態度で遠ざける。
もはやお手上げ状態だった。
誰でもいいから、ヒントをくれ!――という気分なのだ。
店員が、料理を運んできた。
それらをテーブルに並べ終え去っていくタイミングで、松根が顔を上げる。
「あのよ、その話だと、ふつうにお前のことが好きだからって考えにしか行きつかねえんだけど」
リツは深くため息を付いた。
「それはないね。
なんたって俺、現在進行形で避けられてますから」