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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

 客観的に事実を集計していくと、たしかにその答えにしか行き着かないのだ。

 リツも何度なく――まさか、と思ったが、そのたびにその答えを打ち消してきた。


「だよな。アイツが人に好意を持つなんて、ありえねえ」


 ステーキを粗雑に切り分けながら、松根が言った。
 リツもサラダにフォークを突き刺す。


「鴇津さんて、チームでもあんな感じなんですか? 仲良い人とか、いないんすか?」


 リツは鴇津が、ひとりでいる姿しか見たことがない。
 最近はリツたちといっしょにいるが、それも仲間同士が集まっているのとは違う。

 いっしょにいても、鴇津の気持ちは離れている。
 近寄ってくる気配もない。

 ユウゴはかなり慕っているようだが、ユウゴ以外、後輩はおろか舎弟やパシリすら見たことがない。

 ユウゴ曰わく、鴇津にそういった取り巻きは一人もいないらしい。

 鴇津をバックに付けたくて媚びてくる連中にすら、鴇津は牙を剥くのだと。

 そんな鴇津が、紫鳳というチームに入っている。
 紫鳳には、何か特別なモノがあるのだと思っていた。

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