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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

「アイツはいつもあんな感じだよ。
 一応紫鳳の幹部ってことになっちゃいるけど、全ッ然集会に来やしねえ。でも東条さんのお墨付きで、まあケンカの腕はピカイチだからな。
 なんたってアイツ、中坊んときに東条さんとタイマン張って引き分けたんだ。
 それがあって、東条さん、鴇津を紫鳳に入れたんだ。

 ――そう考えると、鴇津が紫鳳にいる理由は、東条さんのことだけなのかもな」


 ――あの東条さんと引き分けた。

 右腕がずきりと疼く。

 この間の乱闘からすごいとは思っていたが、やはり鴇津は徒者じゃない。


「ウワサじゃ、人を刺したこともあるらしい」

「ちょッ!!」


 隣で大人しくぶすくれていたユウゴが、途端に勢いよく立ち上がった。


「あ? どうしたユウゴ」

「あ、いや……」


 ユウゴの目が、右往左往に動く。


「まさか、マジ情報か」

「いや、それは――…」


 いつも言いたいことをズバズバいう奴だから、こんな反応は珍しい。


「何十回もぶっ刺して、相手は後遺症で寝たきりだって」

「1回しか刺してねえよ! 相手のオヤジだって全快してる!
 ――あ……」


 語るに落ちる。
 ユウゴは気持ちいいほどまっすぐな奴だ。

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