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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

 衝撃のカミングアウトに、今まで黙って肉を食っていた土井が、ドスの利いた声で呟いた。


「へえ、マジだったのか。そのウワサ」

「な。怖え、鴇津」

「違うんスよ、それには理由があって」

「へえ、理由」


 松根がニタリと笑う。

 ユウゴはその顔で、謀られたことに気づくが、時すでに遅し。

 ユウゴは、力が抜けたように椅子に腰を落とし、カルピスを抱えるようにすすった。


「――誰にも言わないでくださいよ……。ここだけの話ってことで」

「おう」


 うれしそうに、松根は身を乗り出す。

 土井もフォークとナイフを下ろして聞く体勢をとった。

 そして、リツとユウゴの視線が重なる。


「テメエはどっか行け! テメエには絶対聞かれたくねえ!」

「ヤダよ。聞く」

「テメエ……」

「聞く」


 胸ぐらをつかみ上げられるが、リツは譲らない。

 いつもなら、へらっとユウゴの言いなりになるリツなので、その態度の違いに、ユウゴはひるんだ。


「――チッ!」


 ユウゴは、再びどかりと座り直した。


「鴇津さんは、俺のためっつか、俺のせいで刺したんス」


 そして、ばつの悪そうな顔で話し出した。

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