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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

 ユウゴは呆然とした。
 そしておもしろくなかった。

 口を尖らせながらストローを吸っていると、ユウゴたちのテーブルに、いくつかの人影が立ち止まり、三人は顔を上げた。





   ◆ ◆




「あれ?」


 トイレから帰ってくると、テーブルには食べかけの料理が放置され、ユウゴたちの姿がなくなっていた。

 辺りを見渡してみるが、やはりそれらしき影はない。

 リツが席を立って2分足らず。
 見ればテーブルには伝票が残されたままだった。

 まさか、食い逃げか? と疑っていると、後ろからパスタをすする音が、リツの耳をかすめた。

 何の気なしに振り返ると、リツは目を点にした。


「何であんたがここにいんだ」


 麺を豪快にすすっていたのは、顔面の刺青がファミレスという場で明らかに浮いている男だった。


「最初っからいたぜ? おまえ、全然気づかねぇんだもんな」

「マジ? もしかして、ストーカー?」

「ま、そんなようなもんだ」


 リツは引き気味に言ったが、九鬼はなんのその。
 ちゅるちゅると麺をすすり、皿は空になった。


「あの三人なら出てったぞ」

「やっぱりかっ」


 集られた――と、リツは頭を抱える。

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