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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

「他の学校の奴らとガンつけ合いながら一触即発の雰囲気で、な」

「は?」

 ぱっと、かきむしる手を止めた。

「おい、どっちのほう行った?」

「あっち」


 九鬼が、そう指を差す。
 リツは伝票を引ったくって、レジへと向かった。
 リツが席を立って2分足らず。急げば追いつく。

 そう思い、伝票を確認した。

 そして、はたと立ち止まる。
 リツはきびすを返し、九鬼の元へと舞い戻った。


「あれ、追っかけんじゃねえの?」


 リツは、伝票を持って腰を上げている九鬼の前に対峙した。


「悪い、千円貸してくれっ」

「…………」


 九鬼は無表情に立ち尽くした。


「千円も持たずにファミレスに入ったのか、お前は」


 無事ファミレスから出るや否や、九鬼はリツに言った。


「違ぇよ、あいつらが一銭も払ってかねえから」


 激安飲食店と言えど、男子高校生4人分の会計はさすがにキツかった。


「いやぁ九鬼先輩いてくれて助かったよ。悪かったな、さっきはストーカーとか言って。
 じゃ、ありがとな」


 リツはそう言って、九鬼の示したほうへ走っていった。



 

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