テキストサイズ

血とキズナ

第5章 路地裏の青天



 ユウゴたちはすぐに見つかった。
 九鬼に言われたほうへ向かえば、そこは閑静な住宅街で、そこの空き地がケンカ場となっていた。


「ったく、この学校の連中はどこ行ってもケンカだな」


 リツは独り言のつもりで呟いたが、後ろから「だな」と相づちが返ってくる。


「九鬼先輩。何でついてくんですか」

「んー? オモシロそうだから」

 九鬼の口角がニヤリと弧を描いた。

 リツは息を吐いた。
 さっきは謝ったが、九鬼はやはりストーカーだ。

 九鬼は放っとき、空き地の様子を観察する。

 相手は7人。だいぶ苦戦しているようだ。

 三人とも、すでにサンドバック状態でふらふらである。

 リツがそう分析する後ろで、九鬼はそんな状況など見向きもせず、リツの背中だけを楽しそうに眺めていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ