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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

 しかしあのとき廊下で会って以来、リツは闇も光も、一切見せなくなった。

 見せるのは上っ面の、カルい笑顔だけ。

 そんなもの、見ていてもまったくオモシロくない。

 だから血を浴びて、その上っ面を洗い落とせばいい。

 あの時みたいな真っ黒な瞳を、今度は俺に向けろ。

 そうしたら俺が、お前を堕としてやる。


 そのために九鬼は、リツのストーカーをしていた。
 リツの仮面が剥がれる瞬間を、見落とさないように。

 そしてリツは、今まさにケンカをしているところへ飛び出していった。

 ついにリツの本性が見れるかもしれないと、九鬼は気持ちを高ぶらせていた。


 

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