血とキズナ
第5章 路地裏の青天
松根たちにファミレスでケンカを売った奴らは3人だった。
しかしつれてこられたところに来てみれば、そこには4人が待ちかまえていて、現状は劣勢である。
たった7人にも勝てないとは、情けないかぎりだった。
クラクラしだした松根の頭には、リツの姿が見え隠れしていた。
時雨に乗り込んできた彼は、ものの十数秒で8人の男を倒した。
リツと自分との力の差を、比べずにはいられない。
そのくせ、奴はその力を誇示しない。
イキったりツっぱったり、そんなこともない。
だがあの強さは、素人とはとても思えない。
格闘技をやっていたふうにも見えない。
奴は一体何者なのか、松根にはわからなかった。
「ハッ、紫鳳の特攻ってのも大したことねぇな」
「ンだと……っ」
奴らの言葉に松根や土井よりも早く、ユウゴが反応した。
ユウゴは軋む体を起こしたが、再び相手に殴られ簡単にぶっ飛ばされてしまった。
松根は相手を睨みつけた。
紫鳳の特攻隊が、簡単にナメられるわけにはいかない。
「へっ、まだまだ元気そうじゃねえの」
「よっしゃ。今日はテッテーテキにヤっちまおうぜ」
きっと今日は病院送りだろう。
松根は腹をくくった。
「おいこら」
その声に松根は顔を上げた。 そこには、三角巾姿のリツが立っていた。