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血とキズナ

第5章 路地裏の青天

 突然の乱入者に、奴らはじろりと凄んだ。


「あ? 誰だテメエ」

「スミマセン。ちょっと失敬」


 緊張感も何もないリツはそう言って、松根の前に佇んだ。

 じっと上から見下ろしてくる目に、妙な居心地の悪さを感じた。


「なんだよ、加勢ならいらねえぞ。これは、俺らが買ったケンカだ」


 リツは正式な紫鳳のメンバーじゃない。
 だから何かあっても助ける義理はないし、助けられる義理もない。

 それに、リツに助けられるというシチュエーションは、プライドが赦さなかった。


「そんなことどうでもいいよ」

「ア?」

「なんでもいいから3人合わせて4853円、返してくれる?」


 乱入者の突飛した言動に、松根たちだけでなく相手の男たちも一瞬動きが止まった。


「ア? あ、ああ、悪かったな。今度返してやるから、今はそれどこじゃねんだよ、見りゃわかんだろ」


 そんなことのためにわざわざ来たのか。
 松根は呆気にとられ、逆に冷静になった。

 諭すような口調で、松根はリツに言った。


「そんなの知らないよ。
 いいから、いくらでもいいから返してよ」

「ウルセえ! テメエはこの状況が見えねえのかっ」


 思わずリツにつかみかかった。

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