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血とキズナ

第1章 約束のカギ

「関係ねえよ。族とか、トップとか、アンタらのことなんて。

 これは、明日斗が“俺”に預けた。
 そんで、アイツはもう取りに来ない。
 だからこれは、俺が持ってる」

「フザケんな! それは俺らの、明日斗くんの勲章だ。
 だから俺がもらう」

「さっきから勲章とか証とか、何言ってんだ。
 明日斗がそんな風に思ってたって、本気で思ってんのか」

「何……?」


 俺より長いことつき合ってきて、そんなこともわからないのか。

 無性に腹が立った。

 明日斗は、中林のことは本当に大切に思っていた。

 同じ養護施設で育って、兄弟みたいたいなもんだと、明日斗は言っていた。


「明日斗は柴鳳なんて入らねえ。勲章だなんて、欠片も思ってねえよ。

 友だちも連れも関係ない、これはあいつのモンであいつの問題だよ。
 アンタらが口出しする問題じゃない」

「うるせえ! わかってんだよ!」


 中林に胸ぐらをつかまれた。

 悪人顔が鼻先に突きつけられる。


「明日斗くんが死んでからは、みんなバラバラだ。当たり前だよな、みんな明日斗くんが好きで集まった連中たちなんだから。
 でもそんなんじゃな、ここでは生きていけねえんだよ。
 でも柴鳳に入りゃ最強だぜ、怖いもんなんてナンもねえ」

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