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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 小走りで駐車場を抜けると、きれいに舗装された歩道を駅に向かって歩く。

 歩道は並木道になっていて、常緑樹が青々と整列していて、なかなか癒される。

 空の藍色と樹木の深緑が合わさる夜空を仰いでいると、後ろから白い光が走ってきた。

 振り向くとゆっくり鴇津が近づいてきていた。
 並木を挟んで、バイクはリツの横に止まる。


「じゃあ駅まで送る。それなら文句ねえだろ」


 鴇津はバイクのエンジンを切った。


「え、歩くの?」

「それ以外ねえだろ」


 鴇津は息を潜めたバイクを押し始めた。


「いいよ、バイク重いじゃん」

「じゃあ後乗ってくか」

「それはやだ」

「なら俺の好きにさせろ」


 そう言われたら、もう何も言い返せなかった。
 いつもみたいにたばこを吸うこともなく、両手で二輪車を押す鴇津と並んで、リツはゆっくりと歩き出した。

 数歩歩いては、時折隣の様子を窺う。

 どう見ても、高校生が法律的に乗れないであろう大きさのバイクである。
 黒が紺かわからないが、重厚感があり夜に紛れる単車は、なぜか金髪で目立つ鴇津によくあっていた。

 暗く闇に沈む鉄の塊の中で、 紫鳳の幹部仕様であるらしい白い羽のキーホルダーが、ふわふわと可愛らしく踊っていた。

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