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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 隣で鴇津が煙草を吸い出した。

 不安は、あまりなかった。

 また乗っても、このバイクの後ろではきっと、明日斗は出てこない。

 明日斗より逞しい腰回りと広い背中。
 ひとつしか違わないのに、体格は明日斗や自分とは全然違う。

 それに鴇津とのニケツは、それがそれで楽しい。

 明日斗とはまた違う。
 全然違う“楽しい”だ。

 今日の鴇津の隣は、すごく落ち着く。


「ぼちぼち帰るか」


 一服終わった鴇津が、煙草の火を消しながら言った。


「安全運転でお願いします」


 ヘルメットをどちらが被るのなんので、軽い押し問答があったが、ほぼ強制的にリツが被らされた。

 鴇津がハンドルを握り、リツが後に座った。


「ちゃんと捕まっとけよ」

「いえっさー」


 リツは手を回し、鴇津の下腹辺りで手を組んだ。

 服越しでもわかる、引き締まった体がうらやましい。

 幹部仕様の白い羽が回されて、エンジンがかかった。
 前方をライトが照らして、ゆっくりと走り出す。

 誰もいない山道を、ふたりはゆっくりと下っていった。





 

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