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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 





「お、リツ、ギプスとれたんか」

「おう、やっと解放された~」


 ゴールデンウィーク明けの昼休み。
 鴇津たちと、一週間ぶりに保健室へやってきたリツに、先客のリーゼント頭が声をかけてきた。

 しかし先客は、彼だけではない。

 決して広いとは言えない保健室に、すでに10人近い男たちが入っていた。

 つい10日ほど前までは、リツたち4人だけの昼食場所だったというのに、たったの一週間ちょっとでこの賑わい。

 しかもなぜか皆、リツに良い感情を持っていなかったはずの紫鳳のメンバーたちである。

 そんな中に、リツは臆することもなく入っていくのだった。


「いやぁ、1ヶ月振りの腕の臭さは尋常じゃなかったね」


 そういいながら、リツは定位置となったベッドに上がると、近くの椅子に座るリーゼントは豪快に笑った。


「ありゃヤベーよな。
 俺も中坊ンときやったけどな、夏だったからクセーしかいーしで、マジ最悪」

「うわ、悲惨。夏に骨折んのだけはやめとこ」

「いやいや年がら年中気にしといてほしいね、そこは」


 佐山はリツから離れたところに座り、ひっそりとツッコミをいれるが、当の本人は騒ぎの真ん中にいて聞こえてはいない。

「でお前は、なんでこんな離れたとこに座ってんだ」


 保健室の隅にある丸椅子にちょこんと座る佐山に声をかけたのは、松根であった。

 隅っこで息を殺していた佐山はドキっと肩を震わせる。

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