血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
「いや、だってですね……」
「ま、ふつうはそうなるよな」
誰もが認める最凶チーム紫鳳の、しかも特攻隊の松根や土井から、さらには幹部の鴇津までが集う中に、しれーと入り込めるやつなど、ふつういない。
「つか、アイツが馴染みすぎなんですよ……っ」
「まあ、あれはあいつの才能だよな」
松根たちと食事をしたのをきっかけに、リツは松根や土井と交流するようになった。
特攻隊長と仲良くなれば、彼らの友人や後輩とも接することになるのは道理。
そこからは芋づる式に紫鳳のメンバーたちとの接点が増え、今ではなぜか溜まり場である時雨にまで呼ばれるようになり、完全に紫鳳のメンバーに溶け込んでいるリツであった。
「リツって、紫鳳さん方にも敵視されてたんじゃないんですかッ。
それがなんでこんな和気藹々ほのぼのとみんなで昼飯食べてんですかッ!
そしてなぜ俺が肩身狭い感じになってんすか! 意味わかんないッス!」
そんなリツと一緒にいた佐山が、紫鳳と接点を持つようになったのも、また道理。
場違い感に頭を抱える佐山を、松根は「まあまあ」と宥める。
「もう俺ここにいる意味ないッスよね。
紫鳳のみなさんと仲良くなっちゃって、リツに手ェ出す奴なんかいないじゃないッスか。
むしろリツと一緒にいないと、逆に俺が絡まれることになるし。
意味わかんないッス。
俺って……、俺ってなんなんスかああぁぁ」