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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 また悲しいことに、佐山はリツと一緒にいたばっかりに、リツを狙っていた奴らに狙われる羽目になった。

 力と暴力の世界で名をあげようとする連中たちだが、紫鳳に直接手を出す勇気はもちろんなく、無名で紫羽のカギを持つリツをこれ幸いと標的としていた。

 しかしリツに後ろ盾がつくや、リツに手を出すこともできなくなり、挙げ句の果ては、リツに一番近くて弱い佐山がターゲットとなったのだ。

 そんな佐山の悲痛な叫びなど、リツには届かない。


「リツ、今日も時雨来んだろ」

「うん、バイトまでは行くよ」

「よっしゃ、んじゃみんなでゲーセン行くべ」

「おおー」


 焼きそばパンを掲げながらご機嫌に声を上げるリツに、佐山は心の底からため息をついた。


「鴇津さんも行くよね?」


 こんな賑わいでも、相変わらず一人窓際でパンをかじる鴇津に、リツはなんの躊躇なく近づいた。


「あ? 何で俺が」

「レースに負けたやつが全奢りなんですよ。
 俺車系クソ下手だから助けて!」


 リツは鴇津に寄り添うように隣に座って、背中を鴇津の肩に預ける。

 こんなスキンシップにも、鴇津は何も言わない。
 リツはそれがうれしかった。


「俺が勝ったら、お前の奢る分が増えるだけだろ」

「いや、その辺はなんとかしようよ」

「趣旨変わっちまうだろ。そこがなんとかなっちまったら」

「細かいことは気にしなーい」


 相変わらずの能天気っぷりに、鴇津はため息を吐く。

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