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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

「ちぇ、じゃあいいや。それひと口ちょーだい」


 ユウゴの手に握られたサイダーに手を伸ばす。

 しかし当然のごとくユウゴの手は引かれる。


「ざけんなテメー近寄んな!」

「そんなこと言わずにー。ひと口でいいからさ」

「うわッ、来んな触んな! 抱きつくんじゃねー!!」


 攻防の末、リツがサイダーを抱えるユウゴにのしかかる形になった。

 この形になってしまえば小柄なユウゴでは手も足も出ず、リツのいいように弄くられる結果となった。


「日に日に増えやがって。アメーバかお前らは」


 ガチャっと保健室の扉が開いた。

 入ってきたのは、相変わらずの無精髭とチリチリ頭の遠藤だった。


「おう。場所借りてるぜ遠藤ちゃん」

「先生と呼べ先生と」


 素行不良な学生たちをあしらいながら、遠藤はリツを視線を移した。


「お、ついに取れたか」

「うん。全快」


 ぶんぶん右腕を回してみせるリツを見れば、遠藤はそうかそうかと頷きながら言った。


「だったらもうここに来んな。
 お前が来ると付属品共がうるせぇから」


 遠藤の言いぐさに、不良たちが反応する。

「なんだと」

「誰が付属品だコラ」

「俺らは別にリツに会いに来てるわけじゃねえよ」


 各々言いたいことを言いながら遠藤に睨みをきかすが、本人は何のことなく机に向かい、何やら資料のようなものを引っ張り出している。


「んなことはどうでもいんだよ。
 邪魔でうるさいことには変わりねぇからな」

「なんだと?
 テメエ俺らが下手に出てりゃいい気になりやがって」


 青筋を立てた何人かがゆらりと立ち上がる。

 遠藤が、ひと昔前の有名な総長であるとこは周知のことだが、そこは紫鳳のメンバーたちである。

 全く怖じることなくケンカを売る。

 それを肝が据わっているというのかバカというのかは知らないが、一触即発の雰囲気であることに変わりはない。
 だが止める者など、もちろん1人もいない。

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