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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 



   ◆  ◆




 1日6時限ある授業を全て終えて、リツは、鴇津と佐山とユウゴの4人で時雨にやってきた。

 学校近くの商店街の奥の奥。

 シャッターの下ろされた店ばかりが並ぶ一角に、喫茶店“時雨”がある。

 紫鳳の中でも上位にいる者しか入ることを許されない、敷居の高い溜まり場だ。

 それを重々承知している佐山からすれば、時雨にお邪魔するなど吐き気を催すほどに気を遣う。
 しかしながらいつもの如く、リツにはそんなことどこ吹く風。

 時雨につながる赤い扉を「ちーっす」と軽快に開け放つ。

 そこにはすでに、紫鳳の幹部クラスが松根や土井を合わせて数人。
 そしてその側近たちが数人と、保健室のメンバーたちがずらりと並んでいた。


「おせーぞリツ」

「マジメに授業なんか受けてんじゃねーよ」


 そう声をかけてきた男たちも、リツと同じ霧金に通う先輩たちだ。

 もちろん授業はあるのだが、まともに授業を受ける者などここにはひとりもいない。

 元霧金の生徒で、中退した者だって何人もいる。

 進学率10%以下。

 霧金校というのは、そういう学校であった。


「おいリツ、やるぞ。今日こそ負けねえ」

「よっしゃ、受けて立つ」


 リーゼント頭に言われ、リツは壁際の赤い皮が張られた6人掛けテーブルに向かう。
 そこにはすでに3人が座っていた。

 その3人の真ん中に広げられているのはトランプだ。


「何から行くか」

「そりゃブラックジャックだろ」

「今日こそオメーをベロベロにしてやる」


 スクールバックをソファに投げるリツに向かって、リーゼントはビシッと指を差した。

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